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「欅平」から日電歩道を行く4 [黒部川釣行記]



遊園地のオモチャような列車は風を切って走り左右の景色も
よく見えた。途中、黒薙川・猫又谷・不帰谷を横切る。黒部川
本流に注ぐそれらの沢は思いのほか激流である。

観光で眺めるのと違って、その凄まじい流れは遊覧気分を打
ち消し、現実に引き戻すのに充分な光景だった。

その迫力は、目指す「東谷」付近の流れの険しさを思い知らせ
ていた。「果たして東谷出合の本流を渡れるだろうか?」
不安が頭をよぎり身の引き締まるような感じでもあった。

トロッコ列車は、様々な目的を胸中に秘めたそんな人々を乗せ
て高所を静かにゆっくりと走り終点の「欅平」に到着した。

駅前から急な坂道を日電歩道まで200m登った。身体が慣れ
てないから非常にきつい。喘ぎながらなんとか水平道に着いた。
目標前方に延々と日電歩道が続いている。

その道を二人で黙々と歩いた。山の横壁を削って造ったのだ
ろう、高い所によく造ったものだ。左手の眼下には黒部川中流
域本谷が滔々と流れている。晴天で暑かった。

日電歩道は水平道とも言われているが、それは全体的に見て
の話である。各所にアップダウンが有り部分的には厳しいアル
バイトも強いられる。

山ひだを縫うように進むと、道の角度が変わって時折、心地よ
い風が汗だくの身体を冷やしてくれてホッとする。帰路に気づ
いたのだが、水平道全体は大きく見てゆるい傾斜で登り道に
なっている。


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